CommonNoun’s diary

予習をする。原典にあたる。

ある現代語を一年間学んだこと

 語学シリーズ第二弾です。ロシア語とかいうオタク言語を一年間学んだのでそれについて書きます。オタク言語とは言いましたけど少なくとも第三外国語として学ぶのにいい言語ではありましょう。でも自分が第二外国語に選びたかったかというと全くそうは思いませんね。

 

 ロシア語を学ぼうと思ったのは位相空間論をやっていくうちにロシア語の文献を読む必要に迫られたためです。フランス語やドイツ語は英語からの類推でまだ読めるのですがロシア語となるとお手上げなのですよね。

 

 それで夏学期は第三外国語の講義を履修し、基本的な動詞と名詞の変化を中心にロシア語の表現を習いました。

 

 古典語では(第二外国語でやったドイツ語でも)名詞の変化を習うときは変化表を示して覚えろと言ってくるものですが、ここで使った桑野先生の教科書『初級ロシア語 20 課』では格を一つずつ取り上げてその用法を解説しつつ変化形を覚えさせてくる形式をとっていました。個人的には表を覚えた後用法を習っていく方がやりやすいと感じましたし、このときも確か途中で変化表を見てすべての格の語尾を覚えました。

 

 この授業ではちょくちょくロシアの文化の紹介があったりしたのですが、その中で "Такого, как Путин" とかいうふざけた曲が紹介されて面白かったので触れておきます。プーチンのような彼氏が欲しいと歌うユーロビート調の曲で、教員いわく政府のプロパガンダなのではないかとのことでした。

 

 夏休みに入ると Gould の "Russian for the Mathematician" を使っての自習を始めました。数学の文献を読むためのロシア語の本です。おそらく文法を一通りやってから読むことを想定されている本でしょう。授業では 9 か 10 くらいある変化の型のうち硬音変化の 3 つの型の名詞変化しか扱わない(他も語尾はそう変わらないが)ので残りのうち数学の文献で出てくるものはこれで学びました(覚えたとは言っていない)。

 

 この本は面白くて、1000 の単語を覚えなくても十いくつかの接頭辞と数十の語根 root, корень を覚えれば辞書を引く頻度は大幅に減らせるというスタンスをとって、語根を中心的な話題に据えています。語根というのは、セム語とかをやっていた人にはおなじみでしょうが、日本語でいう「静かな」「静けさ」「静まる」の「しず-」みたいなやつです。

 

 ロシア語の単語はたいてい、語根または複数の語根を組み合わせたものに接頭辞がついたりつかなかったりした後品詞を特定する接尾辞がついて語幹を形成し、それが必要なら曲用ないし活用の語尾を伴って一つの単語になるという構成を持ちます。このように語根から単語を形成するのは大概どの言語でも見られるものと思いますが、とりわけロシア語のボキャブラリビルディングにおいては語根を意識するのは重要と言われています(インターネット情報)。

 

 にもかかわらず語根については少なくとも日本語の入門書では普通触れられません。語彙を 500 とか 1000 ぐらい身につけてから語根の概念を知った方がすんなり受け入れられるとかそういう配慮でしょうかね。私はこの概念を知ってからロシア語の学習がより一層楽しくなったので初級文法が半分終わったというぐらいの早い段階で触れるのがよい──つまり自分は最高のタイミングでこの概念と出会った──と思っているのですが。

 

 まあなんか偉そうなことを言ってしまいましたけど自分は、数学で頻出の語根として挙げられているものを覚えるために用意された選文を読んでいる途中で新学期に入ったので語根あまり覚えていません。すみません。

 

 ちなみに数学にかたよらない、語根を中心にすえたロシア語の語彙形成のための本としては Patrick "Roots of the Russian Language" があります。面白い本です。

 

 冬学期は、夏学期から継続して第三外国語の授業をとっていました。完了体の動詞の話から始まって、命令形、形容詞の比較級などの話題と諸々の構文が扱われます。つい昨日試験があり覚える単語も増えていて大変でしたがナントカ倒しました。

 

 ロシア語ですが、規則は多いと見せかけて動詞についてはそんなにないが規則の例外があって面倒という印象でした。でも古典ギリシア語に比べれば規則も不規則も少ない少ないという感じですね。ただ古典ギリシア語と違ってロシア語は喋るもので、話せるようになろうとするとまあかなり難しいだろうという気はします。

 

 授業難易度はまあやる気を出せばクラスの中で上位にいけるしある程度身につきもするというぐらいでした。身につくとはいっても先述のように名詞の型をすべては扱わないし複数形もほとんどやらないので授業を受けて求められる課題をこなすだけで実用に耐える力をつけるのは不可能でしょう。自習は必要です。まあ来年以降同じ先生が担当されるかどうかは知りませんけどね。

 

 これからは、去年 12 月に少しやっていた、辞書の重要単語(1000 語もない、覚えようと思えば覚えられる)をノートに書いていくやつを再開しつつ、適当な音の出る教材も使ってロシア語の学習は続けたいと思っています。なんか最初の頃は読めるようになれさえすればいいかなぐらいに考えていましたが、やっていくうちにロシア語めっちゃできる人になりたいなという気持ちが芽生えてきたのですよね。やるぞ〜。