CommonNoun’s diary

予習をする。原典にあたる。

『本好きの下剋上』第一部を読んだ

 一番言いたいことを先に言っておくと、「常識が欠けており社会的に低い立場にあるが(見かけ上でも)異常な才能をもつ人」と「そこそこかそれ以上の安定と経験と才能のある人」がともにやっていくのめっちゃ脳にいいな、という話です。*1

 

 上のことがわかってもらえるなら以下の文章は読む必要はありません。下に貼ってあるリンクの向こうの小説を読みましょう。わからなくてわかるつもりがあるとしてもこの文章は読むとそれがわかるようになるようなものとして書かれてはいません。下に貼ってあるリンクの向こうの小説を読むといいのではないでしょうか。わかるつもりがない方は、今回はご縁がありませんでしたね。そんな貴方も下に貼ってあるリンクの向こうの小説は読んで損することはないと思います。

 

 まあ短いし読んで毒や薬になるような記事ではないとも言い足しておきます。

 

 今回取り上げる『本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~』(以下、『本好き』)は、「小説家になろう」で連載中の小説、いわゆるなろう小説です。異世界転生モノです。そういうものを読むのはこれが 2 作目になりますね。最初に読んだものについては後日なにか書く予定です。

 

 何かといい評判を聞くし、最初に読んだ異世界転生なろう小説を読んだある人をツイッターでフォローフォロワー関係外からウォッチしていたらこれを絶賛していたのでじゃあ読んでみようかなとなったのです。

 

 既存の分をすべて読んでから感想を書くのでもいいかなと思っていましたが、この作品は徐々に最高になっていくということをその人が言っていたのを思い出して、こうして記事を書くことにしました。第二部以降を読んでいくと、第一部を読んだときに感じたものについて、あのときの感動はちっぽけなものだったと思うようになりはしないかと考えたためです。

 

 前置きはここまでにして本題に入りましょう。この記事を読む全員が『本好き』第一部を読んでいるとは思っていないので、以下には作品の内容も書きます。作者自ら書いているあらすじ? アブストラクト? に書いていないようなこと(そのうちには核心に触れると感じられるものもあるかもしれない)も述べるので、「続きを読む」で隠しておきます。*2そういうのを気にする人は第一部を読んでからこの記事の続きを読んでくださいね。リンク貼っておきます。

 

 本好きの女子大生である主人公が本に埋もれて死に、異世界に転生するところから話は始まります。本好き、いわゆるビブリオフィリアですね。孫引き、というのでしょうか、になりますが、

「読書家は本の内容あるいは本を読むという行為が好きな者である。一方、愛書家は“書籍”という物体を愛する者である。」と定義的に言及されることもある。 

ビブリオフィリア - Wikipedia

 とのことで、じっさい彼女は読書行為と同時に物体としての本を好む人として描かれています。完全に余談ですけれどビブリオフィリアについてはウィキペディアだとフランス語版が分量も多く詳しそうに見えました。フランス語読めないけど。

 

 彼女が転生したのは、よほど身分が高くなければ本なんて手に入らないし、そもそも文字すら読めないというような世界です。そして転生した身体は、兵士の家の虚弱な娘・マインの身体ときました。そんな主人公がやっていく話です。

 

 あとで分かるのですけど主人公の身体が虚弱なのは一つには魔力をもっているためなんですね。ふつう貴族しかもっていないような力です。この世界の魔力というやつは一方で国を成り立たせるために必要なもののようですが(この辺は今のところあまり書かれていない)、他方でもつ人の身体を蝕みます。「魔術具」によって外に出しなどしないと死に至るという代物です。ただし魔力をもつ人たちの中でも主人公は身体が弱い方のようです。

 

 そういうわけで前世の記憶があり魔力がありしかも美少女でありと実はかなりのポテンシャルをもっていることになると思うのですが、カードゲームでいう初期手札が悪いというやつですね。魔術具は貴族とかしか持っていないので、庶民の娘である主人公はそのままだと死ぬしかないわけでした。というかマインちゃんは本当は死んでいて、そこに転生してきたので身体が生き延びたといった感じですか。身体の元の持ち主の意思は消えています。もちろん別の精神が入ったところでわりと死の淵に近いのには変わりがないのですが、そんな彼女が活路を見いだすまでがこの第 1 部と言っていいと思います(第 2 部以降まだ読んでいないので何とも言えませんけど)。

 

 着目したいのがその主人公マインと、彼女の父親の部下の義兄・商人ベンノの関係です。こう言うと他人ですね。色々あって出会ったマインちゃんの異常性と引き出せる価値に気づいて商人として鍛えようとする人です。身体が弱く自らものを作るのが難しいマインちゃんも将来の職業の第 2 希望を(紙を、そしていずれ本を売る)商人としていたので、彼について学んでいきます。第 1 部はベンノさんが登場してからぐっと面白くなったという印象です。

 

  彼はここ 10 年くらいでのし上がってきている商人で、かなりの商才の持ち主のようです。そんな彼が、カネになる知識をもつが常識を欠いたマインちゃんからアイデアを買いながら、彼女を商人として導き育てます。ですがマインちゃんが成長していくだけでなく、ベンノさんもマインちゃんの影響を受けていくんですね。この辺の、師弟とか上司と部下みたいなものではあるのだろうけどある意味対等でもある感じめちゃくちゃいいんですよ。本文を引用していい感じにそれを伝える技量がないのが残念でなりません。皆さん読んでいないなら読んでみてください。

 

 この第 1 部の登場人物の中で最もマインちゃんと結びつきが深いのは彼ではないとは思います。でもこの 2 人というのが本当にいいんですよね(CommonNoun の)脳に

 

 マインちゃんの性格について(「最初の主人公の性格が最悪です」とか書かれていますね)とか幼なじみルッツくんはじめ人々との関係についてとか、他にも第 1 部には見所があるのですが、私にとって一番のものについて述べたのでこの記事を終えることにします。ありがとうございました。

*1:数学だと Ramanujan と G. H. Hardy とかがこれにあたりますかね。昨日は彼らを題材とした映画をみにいってきました。その原作も読んだら感想を書くかも

*2:「続きを読む」、一回使ってみたかったんですよね。